本革取説 | 水染みだらけの革鞄をお手入れ【実践】
こんにちは。studio FAVORIのゆうです。
もう2年近くお仕事用の鞄として、サンプルに作ったキナリのplain tote bagを使用しています。が、ハードユースすぎて、すっかり水染みまみれになってしまっていました。
しかもすぐに処置してあげず、かなり長いこと放置…とても良くないですね。でも自分のだし、みたいな。良くないです。
そこで今回はこのトートバッグのお手入れを実際に行っていきます。
以前にもリュックや二つ折り財布のメンテナンスの様子をご紹介していますので、そちらもぜひご覧くださいね。
*ご紹介するお手入れ方法は当店の革ものを対象としています。
他店の革製品のお取扱いについては各ショップにお問い合わせください。
目次
雨濡れで革製品に水染みができてしまったときは…
そろそろ全国各地梅雨明け?な時季ですが、革鞄を持って出かけたら急な雨に降られて濡れてしまった、という経験をした方もいるのではないでしょうか?
そんなとき真っ先にやるべきことは、鞄の中身をすべて出して自然乾燥で完全に乾かすこと。
本革は可塑性という性質を持っており、水に濡れた状態で型等に固定したり折り癖を付けたりすると、乾いた時にその形を保って戻らなくなります。
この可塑性を生かした革細工の技法は革絞り(ウォーターフォーミング)と言って、制作時に利用されることも多々あります。
しかしこれは鞄が水に濡れたときにも同じことが言えます。
雨に降られて中にモノが入ったまま乾燥すると、それが癖付いて型崩れの原因になってしまうのです。だからまずは中身をすべて出すこと。
それからドライヤー等は使わずに、自然乾燥で完全に乾かします。
乾いたところでいよいよメンテナンスしていきましょう。
大きな革鞄の水染みのお手入れ
まず最初に今回メンテナンスするトートバッグの状態を見ていきます。
特にひどい部分を撮りました。
革に詳しくない方でもこれはさすがに分かるくらいの状態ではないでしょうか…革好きな方には怒られてしまうかもしれません🫢
これは完全に悪い例で、こんなになるまで放っておいた私がいけません。
特に水染みは早く対処してあげるほど綺麗に消えます。革製品が濡れてしまったとき、皆さんはぜひ早めにお手入れしてあげてくださいね…
用意するものは以下の3点のみ。
- 柔らかい布地
- 革製品専用馬毛ブラシ
- 本革用ケアクリーム
ここからは実際に作業を行なっていきますよ〜
◯馬毛ブラシで表面の汚れを落とす
まず最初に革表面の状態を綺麗に整えるために、馬毛のブラシを使って全体の汚れをさっと落とします。
ここでは特に念入りなブラシがけはせず、あくまでささーっと汚れを落とすイメージで◯
この機会に細かい隙間のほこりなどもかき出しておいても良いですね。
ブラシがけをしていて、経年変化が実感できる部分を見つけました。
根革(持ち手の付け根)の裏側、少しめくってみたらエイジング前の革が顔を出しました。
分かるでしょうか?
最初はこんなに真っ白だったんだなあとお手入れしながら浸ったりしつつ…次の工程へ🚶♀️
◯鞄全体を水拭きする
以前のメンテナンス記事でもお伝えしていますが、水濡れには水拭き。これが基本です。
軽くブラシがけが済んだら用意した柔らかい布地を濡らし、固く絞って鞄の表面を水拭きしていきます。
丁寧に、革に水分を含ませるイメージで優しく行います。
ごしごしと擦るのは革の劣化に繋がるのでNGです🙅♀️
水染みが鞄全体ではなく1箇所に集中している場合は、その周辺を少し広めに水拭きしてなじませてあげる程度で良いですよ。
染みができてしまったパーツ全体、等に絞るとムラになりにくく仕上がりも綺麗になります。
判断に迷ったらパーツを基準に判断するのがおすすめですよ。
全体、または消したい水染みの箇所が濡れ色になったら、型崩れしないように整えて自然乾燥させてます。
ここでも煩雑に置いて乾かすと型崩れに繋がるので注意しましょう。
また早く乾かしたい!とドライヤー等の熱風に当てたり直射日光の下で乾かすと、革の過乾燥でヒビ割れを起こしやすくなります。焦らず陰干しで乾かしましょう。
◯ケアクリームで保湿する
水拭きした部分が完全に乾いたら、ケアクリームで保湿していきます。
革用ケアクリーム…?と迷ってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、当店の革ものにおすすめしているのはコロニル シュプリームクリームデラックス。
さらっとしたテクスチャで香りも良く、こういう専門アイテムはハードルが高いな…と感じるビギナーさんでも扱いやすい商品です。
こちらを指に少し取って、ごく薄く水拭きした部分に塗布していきます☝️
ここではマチや底も含めて全体に塗布しています。
乾燥が気になる場合は水拭きした部分に限らず、全体に塗って保湿してあげると良いですよ。
塗り終えたら、再び自然乾燥させます。
◯仕上げにブラッシングする
最後に馬毛ブラシを同方向に動かして、表面を綺麗に仕上げます。
実際にお手入れしてみると、この時点でメンテナンス前とは艶感が違うことが実感できるはずです。
ではビフォーアフターを見ていきましょ〜🌝
before
after
before
after
before
after
染みができてから時間が経っていた割には、なかなか綺麗に仕上がったのではないでしょうか?
ただしあくまでも処置は早めに。
今回のトートバッグではまだうっすら跡が残って見える部分がありますが、すぐにメンテナンスしてあげればもっと綺麗さっぱり消すことができますよ。
手順は同じでOKです◎
結び
いつもと同じ方法で水染みを消すお手入れを実践してきました。いかがだったでしょうか?
必要な道具はたったの3つ、手順も少なく簡単なので、これからレザーバッグや革小物・お財布のセルフメンテナンスを始めてみようという方の参考にもしていただけるのではないかなと思います。
お気に入りの革製品をより綺麗に保って、美しい経年変化を愉しむための手助けとなればうれしいです🥀
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