本革取説 | 雨濡れ染みのメンテナンス《ご依頼の記録》
こんにちは。studio FAVORIのゆうです。
以前「A4が入るレザーリュック」をお買い上げくださった方からのご依頼で、雨濡れのメンテナンスを行いました。
今日はその記録と、お手入れの方法について書いていきます〜📚
目次
本革と水分の関係
まずは基礎知識のおさらいを。
本革に対して、基本的に濡らすという行為はNGです🙅♀️
何年も先まで長く使えるポテンシャルを持った素材ではありますが、濡れることでその長所を損なってしまうことになります。
またここ数年で気にされる革ユーザーさんが増えた消毒用アルコールのこと。
こちらも本革には絶対に使ってはいけません。
もう少し詳しい本革の取り扱いについては、こちらの記事をご参照ください🌝
上記を理解して使用していても、どうしても突然の雨に降られてしまうことはあると思います。
そんなときのために、セルフケアの手順をマスターしておきましょう🌿
雨に濡れた革もののメンテナンス
ここからはご依頼いただいたお客さまの許可を得て、実際に濡れてしまったレザーリュックをメンテナンスした様子を例として書き留めていきます。
まずはリュックの状態から…
そこまで革に詳しくない方でも、ひと目でかなりひどい状態になってしまっているのが感覚でわかるかと思います🥲
正面から見て右サイドがかなりしっかり濡れてしまったようですね。
水が濡れ広がったときに染料や油分が染みのフチに移動して、よりくっきりと目立っています。
さらにこのリュックの場合は濡れてから数日経ってしまっていて、濡れた部分の革がその周りよりも少し硬くなっていました。
先述しておきますが、本革を濡らしてしまったときのメンテナンスは時間との戦いです…!
本来は濡れたその日、すぐに対応するのが一番良いです。
ではまずは手順から。
- 固く絞った柔らかい布で水拭きする
- 完全に乾かす(自然乾燥)
- ブラッシングする
- ケアクリームを塗り、乾かす
- ブラッシングで仕上げる
ざっくりこんな感じになります。
それでは写真を交えながら説明していきますよ〜🚶♀️
ⅰ.固く絞った柔らかい布で水拭きする
革ものに水染みができたら、まずは水拭きを行います。
本革に水はNGとお伝えした直後にこの流れ、ちょっと混乱しますよね。笑
しかし水濡れには水拭きが非常に有効です。
それも結果を見れば明らか。
早速やってみましょう🧚♀️
注意するのは“固く絞った布で”というところ。
びしょびしょの布では二次災害を起こしかねないので、しっかり絞った柔らかい布を使用します。
拭くときは強く擦らず、染みを馴染ませるイメージで優しくなでるように。
革が濡れ色になるくらいで充分です。
ⅱ.完全に乾かす(自然乾燥)
染みが水拭きの濡れ色で馴染んだら、一旦完全に乾かします。
乾かす前がこんな感じ↑
最初の状態よりも染みの輪郭が馴染んでいます。
ドライヤーやエアコンは使用せず、このまま自然乾燥させます。
熱風をあてると過度に乾燥して革が傷んでしまうので、こちらも注意です💁♀️
ⅲ.ブラッシングする
触ってみて湿った感じがなくなったら、革製品向けのブラシでやさしくブラッシングします。
studio FAVORIの革ものに使うブラシは馬毛のものを推奨しています🐎
硬すぎず柔らかすぎず適度に表面の汚れを取り除き、コンディションを整えてくれます◎(他社革製品にはメーカー推奨のものを使用してください)
ⅳ.ケアクリームを塗り、乾かす
ブラッシングでざっくり革表面の状態を整えたら、革製品専用のケアクリームで濡れた部分を保湿してあげます。
一度濡れて乾燥した革は、もともと含まれていた水分や油分(オイル)が抜けてしまっている状態。
ケアクリームはそれを補う効果があります。
今回使用したのはコロニルのシュプリームクリームデラックス。
こちらのクリームはさらりとみずみずしいテクスチャで、薄く均一に塗りやすくなっています。さらに香りも良し🌷
通販で入手しやすく割と手頃にお求めいただけるので、日々のお手入れ用にひとつ持っておくと重宝しますよ。
studio FAVORIのスムースレザーを使用した革ものたちにも使いやすく、おすすめです。
ケアクリームの塗り込みができたら、もう一度自然乾燥させます。
ⅴ.ブラッシングで仕上げる
水拭き、保湿までできたら最後は馬毛のブラシで仕上げます。
実際にやってみると分かるのですが、ケア前に比べると革表面がしっとりとして、柔らかい艶が現れてきます。
ケア後の手肌に馴染む革は、思わず触りたくなってしまう質感ですよ🤤
それではここで、ご依頼のリュックのビフォーアフターといきましょ〜
before
after
before
after
時間が経ってからのメンテナンスだったため、やはり少し染みの輪郭が残ってしまっていますが、それでもかなり綺麗になったかなと思います。
時間経過後のケアで染み跡が残るのは素材の性質です。
どうしても本革は水に弱いということ。
跡を残さないためにも、水濡れにはできるだけ早く対応しましょう◯
結び
おそらくこういった革のお手入れを、実践を交えて書いたのは初めてだと思いますが、いかがだったでしょうか?
革が水に弱いとはいえ、どうしても避けられない状況になることもあります。
そんなときにすぐに対応できるように
- 馬毛のブラシ
- ケアクリーム(おすすめはコロニル「シュプリームクリームデラックス」!)
は事前に備えておくことをおすすめします。
また、当店では今回のようにメンテナンスも承ります(studio FAVORIの作品に限ります)。
料金は革ものの状態によってご提示しますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいね🐈
日常のお手入れもお受けしますよ〜
お気に入りの革ものを長くご愛用いただくために、時々整える時間を作ってみてはいかがでしょうか?
studio FAVORIの革もの、布ものはこちらから◎
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